旅する映像 680日目 スリ族の牛とセレモニー



スリ族にとって、牛は神聖なもの。スリの男が奥さんをゲットするときは、牛が結納金代わりになるのだとか。牛を持っていない男は、お相手を見つけるのが難しいとも聞いた。財産でもあるようだ。飼っている牛を殺して食べることはなく、牛乳や死なない程度の血を飲む。そんな大切な牛を殺してしまうという特別なセレモニーに、この日僕らはお邪魔した。会場は草むらの奥の村の一角で、ペインティングをした牛を連れた人々が続々と向かっていた。呪文のような言葉を発しながら、時たま空に向かってライフルを撃つ。人々に笑顔はなかった。その雰囲気は凄まじく、ちょっと泣きそうになりながらも、ようやくたどり着いたセレモニー会場。見ると、一軒の家の上にたくさんの人々が乗って、揺れている。その周りでは、大切な牛が数頭、すでに捧げられていた。銃声はまだ続くし、光景がカオスすぎて、最早よくわからない。あとからスムスムに聞いてようやく理解できたのだが、このセレモニーは、先日亡くなった偉い人の葬いの儀式だったそうな。人々が乗っていた家はその人の家で、最終的には家を潰すのだそうだ。厳かとは程遠かったが、スリの人たちの大切な儀式だというのは、よく分かった。興味深い体験だった。ちなみに、セレモニー会場での撮影ができなかったのだが、それは結構な金額を要求されたから。交渉でみるみる値段は下がったのだけれど、それでも高かったので断念した。こんな時でもきっちりビジネスをしてくるスリの人々も、なかなか興味深い。

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"Kibish"

旅する映像 679日目 スリ族のペインティング大会



もし、何も知らずにこの辺りをドライブしていて、突然草むらからこんな不思議ちゃんたちが現れたら、普通に怖い。山で採れた色の土を体に塗りたくり、花や木の実を頭に乗せて「photo! photo!」と迫って来る。そんな辺境の妖精、スリ族の子供たち。着飾った姿はそれこそ迫力あるものだけれど、河原で黙々とペイントする姿は、日本の小学校の図工の時間そのものだと思った。あれやこれや工夫しながら作っている姿はなんとも可愛くて、たまにやりすぎてすごいことになってしまった子を見て、フォローに戸惑う。スムスム曰く、本来ペイントをするのはセレモニーの時の大人の男性で、実はもっとシンプルなのだとか。子供達のペイントはその練習のようなものらしく、世界中から写真家が訪れるようになった今では、彼らの仕事の一つになったのだと思う。着飾ったあと、彼らの猛アピールが始まる。視界のどこかで、彼らは必ずいつも無言でポーズをとって佇んでいた。日が暮れて写真が撮れなくなると、彼らは飾りを投げ捨てて、ガヤガヤと村へ帰っていった。

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"Kibish"

旅する映像 678日目 暗闇のスリ族ダンス



日が暮れたあと、夕食を済ませた僕らはスリ族村にお呼ばれした。何やら特別なセレモニーがあるから是非にと、ガイドのスムスムが案内してくれる。電気は無く、月も出ない夜の暗闇の辺境は、びっくりするぐらい真っ暗で、ただ歩くのも大変。歌声とざわめきだけを頼りに、僕らは村まで歩いて行く。昨日お邪魔した村の一角あたりに、たくさんの人の気配を感じた。そこに村人はたくさんいると思うのだが、暗闇に紛れると、彼らは本当に見えない。人だかりの中心に大きな火が焚かれ、なんとか皆んなの顔が確認できるようになる。子供達が歌い、おばさんたちは狂ったように踊っていた。何度説明を受けてもこのセレモニーが一体なんのためのものなのか理解できなかったけれど、とにかくみんなは楽しそうだ。盛り上がるおばさんたちに誘われるまま、僕らも火の回りで一緒に踊り、手を叩く。とても楽しい体験だったが、もしかしたら僕らは何かの生贄として、捧げられているんじゃないか。なんてことを思ったりもした、辺境の夜。

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"Kibish"

旅する映像 677日目 滞在初日のスリ族の村



名シェフ、一丁前ギターによる素敵な朝食で、スリ村滞在の初日が始まった。今日はいよいよ、初めてスリの人たちに会える日、だったのだが、昨日到着してから実にたくさんのスリの人々に、既に会っていた。キャンプサイトの入り口には、夜も朝もモリモリ子供達が集まって、写真を撮れと猛アピール。お邪魔させていただくご家庭に向かう最中にも、人はどんどんと増えていき、どの人がこのご家庭の人だかわからなくなる始末。いつでも人が集まってきていて、ほんと賑やかな辺境の滞在。初めて見るプレートをはめた唇や耳はやっぱり迫力があり、その生活っぷりも興味深かった。丸出しのおっぱいや、チラチラこんにちはする男性陣の下半身には、なんだか感心をした。そんなスリ族との初日は、珍しいものとツッコミどころばかりで忙しく、なんだかあっという間に過ぎた。嫁につけてもらった「収穫」という意味のニックネームに爆笑しながら、楽しい夕食で終わった、辺境の初日。

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"Kibish"

旅する映像 676日目 スリ族の村へ 3日め



最後の街、ミザンテフェリからはガタガタ道。通り過ぎる街は村になり、集落になり、何もなくなっていく。国土の大半を占めるエチオピア高原もここらで終わり、景色は高い木々の森から、低い木が転々とするサバンナへと変わった。首都アディスアベバは少し寒いぐらいだったのに、ここまで来るとTシャツでも汗をかく。南部諸民族州は民族ごとに区域が分けられているようで、国境のような検問を越え、とうとうやってきた未開のスリの地。布一枚の人々とすれ違い、いちいちテンションが上がる。今回僕らが滞在するのは、スリ族の村のはずれの川岸の森。こんな奥地まで観光客はほとんど訪れないようで、先客はドイツの写真家さん一人だけ。早速集まってきたスリの人々に挨拶をし、テントを張り、ちょっと緊張の辺境滞在が始まる。

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